【エサを運ぶシジュウカラ(左)と巣箱の中(右)】
こどもの国では様々な野鳥が見られますが、一年中いるもの、夏に見られるもの、冬に見られるものなど、種類によって見られる時期があります。一年中いるものや夏に見られる野鳥の中には、こどもの国で子育てを行うものがいます。野鳥は種類によって巣を作る場所や形が違います。
巣箱を利用する野鳥はシジュウカラ、ヤマガラなど一部の野鳥に限られます。本来はキツツキが木にあけた穴や、木が腐ってできた穴などを利用して巣を作ります。巣箱がその代わりの役目をするので、かけておくと利用されます。ただし、かけた巣箱すべてが利用されるわけではありません。過去の結果では、多い時で10個のうち4個ほど利用されます。
こどもの国では野鳥の生態について学ぶことを目的として巣箱を利用しています。巣箱をたくさんかけたからといって野鳥が増えるわけではありません。むしろたくさんかけ過ぎると、生態に影響して、自然のバランスを壊してしまうかもしれません。巣箱をかけなくても、シジュウカラやヤマガラが巣を作れる木の穴はたくさんあります。
スズメ目シジュウカラ科
大きさ:スズメくらい
鳴き声:ツーツー、ツピ、ヂュクヂュクなど
さえずり:ツピツピツピツピ・・・、ツツピツツピツツピ・・・
のどからおなかにかけて、黒いネクタイのような模様が特徴です。こどもの国の森にたくさん住んでいて、冬は数~10羽くらいで群れて木の上や地面でエサを探しています。街中でも見かけます。
スズメ目シジュウカラ科
大きさ:スズメくらい
鳴き声:ニーニー、ツィーツィーなど
さえずり:ツーツーピー、ツーツーピー・・・・
シジュウカラに比べて森の中を好みます。エゴノキの種が大好きで、エゴノキの近くで待っていると必ずと言っていいほどやってきます。おなかいっぱいになると、木の穴や隙間に食べ物をためこんでおく習性があります。
※他にもスズメやムクドリなどが巣箱を利用することがあります。スズメは好む環境が違い、ムクドリは巣箱の入口が小さすぎて利用できないようになっています。
シジュウカラもヤマガラも冬は小さな群れで行動します。また他の野鳥と混群と呼ばれる群れを作ります。一緒にいることで、タカなどの天敵から襲われにくくなると考えられています。混群にはエナガ、メジロ、コゲラなどが加わります。これらの野鳥がごちゃごちゃにまざりあって群れているのではなく、エナガはエナガ同士、シジュウカラはシジュウカラ同士、コゲラはコゲラ同士といった具合に別々にまとまっていて、それらの群れがなんとなくいつも近くにいます。
3月になると、オスがさえずりをはじめます。メスをひきつけたり、周囲のオスに子育てをするための縄張りを宣言するためです。メスとつがいになると、巣作りによい場所を探します。シジュウカラは木の穴や巣箱以外にも、石垣の隙間や郵便受けに巣をつくることがあります。
【コケを運ぶシジュウカラ】
4月になると巣作りをはじめます。巣はメスが1週間ほどかけてつくります。まず土台にコケをたくさん敷きます。土台作りが終わると、卵を産みあたためるための、おわん型の産座をつくります。産座には鳥の羽や動物の毛、ほかにビニールなどの人工物が使われることがあります。巣作りの間はとても神経質で、様子を見ようと人が近づいたりすると、途中でやめてしまうことがあります。
4月中旬頃から1日に1個ずつ卵を産んでいきます。卵の数は8~10個くらいです。全部産み終わってからメスが卵をあたためはじめます。ヒナがかえるタイミングが同じになるようにするためです。その間オスはさかんにさえずってなわばりを主張します。また、メスにエサを運んだり、外に出てきたメスにエサをあげたりします。
卵はあたためはじめてから約13日でふ化しはじめ、1~2日ですべてヒナになります。メスはヒナをあたためるためにしばらく巣から出ず、オスがエサを運んできます。3日くらいするとメスも巣を出てエサを運ぶようになり、オスよりもメスのほうが多くエサを持ってくるようになります。ヒナが成長するにつれてエサを運ぶ回数がどんどん増え、1時間に10回以上にもなります。エサはイモムシなどの昆虫が中心です。
【巣だってまもないヒナ】
巣立ちが近くなると、親はエサをなかなかあたえなくなり、巣立ちをうながす行動をするようになります。卵がふ化してから18日前後で巣立ちます。巣立った後も、しばらくは親と一緒に過ごしてエサをねだります。1が月くらいすると、親から離れて生活できるようになります。
残念ながらすべてのヒナが無事に育つわけではありません。卵がふ化しなかったり、アオダイショウ(ヘビ)やカラスに襲われて食べられてしまったり、途中で死んでしまうこともあります。無事に巣立った後も天敵のタカなどに食べられてしまうこともあります。
イベント「野鳥の巣箱づくりと巣箱かけ」は毎年2月上旬(または1月下旬)に行っているイベントで、巣箱を利用する野鳥について説明を聞き、金づちで釘をトントンしながら巣箱を作った後、外周道路の木にかけます。イベントカレンダーで告知をします。
かけた巣箱は12月に木からはずして利用してくれたかどうかをチェックします。イベント「野鳥の巣箱はずし」は毎年12月中旬に行います。
過去の結果はブログに掲載しています。下記のリンクからご覧いただき、参考にしてください。