セミのぬけがら調査は、調べたい場所のセミのぬけがらを探し集め、何種類のセミがどれくらい発生しているかを調べます。
セミは飛んで移動します。そのため、その場所で発生しているかどうかは、セミが鳴いているだけではわかりません。でもぬけがらが見つかれば、確実にその種類のセミが発生している証拠になります。こどもの国では6種類のセミが夏に鳴きますが、見つかるぬけがらは5種類です。都心では2種類以下しか見つからない場所もあります。
セミは種類によって好む自然が少しずつ違います。多くの種類がいるということは、それだけ多くの生き物が棲む多様な自然が残されていることになります。でも、もしかしたら、年々少しずつ種類やその数が変化していることも考えられます。毎年記録を残しておくと、自然の変化を捉えられるかもしれません。
そのひとつがクマゼミです。もともと南の地方のセミで、こどもの国で鳴き声を聞くことは少なかったのですが、近年とても多く聞くようになりました。10年以上セミのぬけがら調査を行っていますが、未だにクマゼミのぬけがらは見つかっていません。ですが近隣の住宅地では見つかっているところもあるようなので、こどもの国で発見されるのも時間の問題だと思われます(2019年7月現在)。
ここで紹介するのはこどもの国(神奈川県横浜市)で見られるセミのぬけがらの見分け方になります。こどもの国では毎年8月中旬にイベント「セミのぬけがら調査」を行なっています。ぬけがらの種類の見分け方を詳しく知りたい方はご参加をお勧めします。
集めたセミのぬけがらは、全長26ミリ以上の大きいものと、それ以下の小さいものに分けます。この26ミリというサイズは大体の目安です。ちなみに全長は頭の先からお尻の先までの長さになります。
大きさを測る時、定規を当てて測ってもなかなか分かりづらいので、26ミリの長さに切った紙などを用意しておくとよいです。大きいものはその紙より大きいか同じくらいで、小さいものは明らかに紙の長さより小さく見えます。ただし、自然のものは必ずぴったりと当てはまらない、例外が時々現れることがあります。
大きいものはアブラゼミ・ミンミンゼミ・クマゼミ(→2へ)
小さいものはニイニイゼミ・ヒグラシ・ツクツクボウシ(→4へ)
クマゼミのぬけがらは、アブラゼミ・ミンミンゼミと比べて一回り大きく背中が盛り上がっています。
また、裏返して脚の生えている真ん中の部分を見ると、クマゼミのぬけがらにはおへそのような出っ張りがあります。
アブラゼミとミンミンゼミのぬけがらはとてもよく似ています。そのため、見分けるのが難しいです。基本的には触角の違いで見分けます。アブラゼミの触角は太く、根元から3番目の節が2番目の節の1.5倍の長さがあります。ミンミンゼミは触角が細く、根元から2番目の節と3番目の節の長さがほぼ同じです。
触角を観察する時には虫眼鏡が役に立ちます。できれば5倍以上のものがあるとよいです。拡大するとアブラゼミとミンミンゼミの触角は明らかに違うのですが、慣れるまでは見分けるのは難しいです。
ニイニイゼミは他のセミのぬけがらと明らかに異なるので見分けがしやすいです。小さくて丸っこく、全体に泥がついています。木の低い場所でぬけがらを見つけることが多いです。
ヒグラシとツクツクボウシのぬけがらは似ていますが、慣れると割と簡単に見分けられるようになります。ヒグラシのぬけがらはツヤがあり、背中が盛り上がっています。ツクツクボウシのぬけがらはツヤがなく、背中が平たいです。
大体見た目で区別ができますが、よくわからないときは触角を観察します。ヒグラシの触角は根元から4番目の節が3番目より長く、ツクツクボウシの触角は4番目の節が3番目の節より短いです。
ぬけがらでもオスメスを見分けることができます。図のおしりの部分、オスには何もありませんが、メスには縦に割れ目があります。ニイニイゼミ以外のセミは同じように見分けられます。
こどもの国には何種類のセミがいるのか、ぬけがらを探して調査をします。セミを通して自然を調べることを学び、自由研究に活かしましょう。8月に実施します。
※イベントの開催日など詳細についてはイベントカレンダーで告知をします。