タンポポをかんさつしてみよう
住宅地で見られるタンポポ
都会の住宅地でも、道の脇で咲いているタンポポを見かけます。そのほとんどはセイヨウタンポポで、もともと日本にはなかったタンポポです。もともとあった日本のタンポポは、都市化が進むにつれ見られなくなってしまい、その代わりにセイヨウタンポポが見られるようになりました。
セイヨウタンポポといっても、外国に生えていたタンポポがそのまま日本の都市化した地域に広がったという訳ではなく、日本のタンポポと交雑することで、日本の気候風土に慣れたセイヨウタンポポが住宅地などに広がったようです。セイヨウタンポポの花は春から秋にかけて見られます。
カントウタンポポ
こどもの国の梅林や桜堤などでは、カントウタンポポがたくさん咲きます。カントウタンポポは昔から日本にあるタンポポで、自然の多い場所で見られます。カントウタンポポは早いもので1月頃から咲き始め、4月に花のピークを迎え、5月頃まで見られます。
カントウタンポポは、セイヨウタンポポと違い、総苞が反り返りません。ここがセイヨウタンポポと見分けるポイントになります。
冬の間、タンポポはロゼット(バラの形)と呼ばれる姿で、地面に張り付くように真ん中から外側に葉を広げています。こうすることで寒い冬でも太陽の光をたくさん浴びて少しずつ成長することができます。
真冬の寒い時期でも天気の良い日には地表付近は暖かくなります。そんな暖かさを感じてか、カントウタンポポはいち早く花を咲かせます。園内をよく探せば、1月でも花が咲いているカントウタンポポを見つけることができます。
3月になると咲いているカントウタンポポが増え始め、サクラが咲く4月にはとても多く咲きます。特に梅林や桜堤ではたくさんのカントウタンポポが見られます。
タンポポの花にはハチやアブ、チョウ、甲虫などいろいろな昆虫がやってきます。4月になるとタンポポの花の上でよく見かけるのはキリギリスの仲間(ヤブキリ)の幼虫です。大きくなるとセミなどを捕まえて食べる肉食の昆虫ですが、幼虫になったばかりの小さな時期は、花の花粉などを食べて育ちます。
カントウタンポポの花の時期は5月上旬までです。4月にピークを迎えた後、だんだんと花数が少なくなり、5月下旬にはほとんど見られなくなります。4月の後半からは、花のかわりに綿毛がたくさん見られるようになります。綿毛には種がついていて、風に飛ばされて遠くまで種を運びます。
タンポポはたくさんの花が集まったもの
タンポポの花は、たくさんの花びらがあるひとつの花に見えますが、実は100~200個の小さな花が集まったものです。下の写真はひとつひとつの花を取り出してみたところです。
本当のひとつの花は、一枚の花びらとセットになっています。花びらが舌の様な形をしているので、舌状花といいます。冠毛は綿毛になる部分は、がくが変化したものです。子房は種になる部分です。
半分に切ってみると花が並んでいるのがわかります。軸は中が中空になっています。外側の花が先に咲き、だんだん中心の方へと咲いていきます。
シロバナタンポポ
こどもの国のある神奈川県(関東地方)ではタンポポの花は黄色いものばかりですが、日本でも西の方では白いタンポポがあります。春に愛媛県で電車に乗った時、窓から見えたのはたくさんの白いタンポポでした。
シロバナタンポポは関東地方でも自生しているところもあるようですが、なかなか見られることはありません。貴重なものですので、もし見つけたとしたら手を触れず、そっとそのままにしておいてください。
春はタンポポ以外にもいろいろな野の花が咲く時期です。こどもの国で野の花を楽しんでみてください。他に園内で見られる花は下記のリンク先で見ることができます。